屠所の羊

備忘録

プロメアを見て

だいぶたってしまったが、映画『プロメア』をみた。うちにテレビがないからか、情報に取り残され上映されていることを全く知らなかったのだが、妹からの連絡で知った。「プロメアみた?君の大好きなグレンラガンの制作者と一緒みたいだよ」と教えてくれた妹は最高の妹です。こうしてプロメアをしった私ですが、あまり観に行く気は起きていなかった。なぜかというと私は主線が黒くがっつりした絵柄が好みで、また、可愛らしい男性キャラもあまり好みではなかった。いや、正確には性別不詳なキャラは好きなのだが、絶対にストーリー内でもてはやされ腐女子ウケとか言われる展開になるのが好きではないのだ(私が好きなTIGER&BUNNYというアニメもお姫様抱っこからはじまりお姫様抱っこで終わるが、あそこまでショー的な感じでやってくれると諦めがつく)。

 そんな私がプロメアを観に行こうと思った理由が、制作側が「幸せな話を作ろうと思った。ニアが死なない物語にしようと思った。」と言っていたという情報をTwitterで見かけたからだ。Twitter情報なので本当かはわからないが、がぜん興味がわいた。ニアが死んだからこそ私は天元突破グレンラガンという作品を見るに至ったのだが、日々につかれている私は頭を使わなくていい楽しく勢いのある映画が見たくなった。バッチコーイ幸せな世界!!!と観に行った。

 重かった。勢いはあるし、スカッとはするが、それは切り方の問題であって、断面や切るタイミングを変えれば全くスカッとしないではないか。鑑賞後の爽快感はあるんだが、考えれば考えるほど、なんて重たい話なんだと心が沈む。ある意味天才です。そしてそこが好き。

 勝利までで映画は終わらなければならなかった。それ以上続けるとそれは勝利だったのかという疑問が生じてくる(グレンラガン2期のように)。敵の戦闘機がすべて新天地での生活を考えて作られていたことは、鑑賞中はギャグとして楽しんだがよくよく考えてみると正義とはなにかと考えさせられる。

 それからニアは死なないけど、大勢の人が死にますね。映画自体の爽快感はあったけど、私は幸せな気持ちにはならなかった。一番「え?」とおもったのが、エリスが一度ワープ装置起動させてショートさせるという手段をとったことだ。鬼畜生かよと思いましたね。それまでに灰になる弱者たちはいかほどか。多くの屍の上で主人公たちは勝利を手にしている。鑑賞後冷静になると、すこし心にもやがかかる。むしろ、あまり考えさせずに勢いで魅せぬいたことがこの映画のすごさだろう。

 テンポ、口上、音楽、すべてが良かった。画面のカラフルさもよかった。奇跡的なバランスだと思う。音楽に関してはセンスあふれる上に作品を一層おしゃれに彩っている。もともと彩りがすさまじいのに音楽と相乗効果で爆発している。サントラ購入不可避だったが、映像と一緒のほうが音楽も映えることを思い知った。

 いろいろ述べたが、とりあえず最高だったので見てない人は見てください。妄想がはかどる伏線の山ってところもにくいですよね。